年次報告

2017年度成果(詳細はこちら)

1.単一電子スピンをレーザー光で自在に、正確に操作する新原理(ホロノミック光量子ゲート)を考案し、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)を用いて世界で初めて実証実験に成功した。マイクロワットという小さな光パワーで、従来の100倍速くかつ3倍高い精度で単一スピン操作を実現した。本成果により量子情報処理に必要な書き込み・ゲート制御・読み出しの全操作が微弱光で行え、光操作による大規模量子集積チップが実現可能となる。(Nature Photonics掲載)また、光の位相を制御することでさらに高精度な単一電子スピン光操作を可能とした。(Optics Letters掲載決定)

2.上述のホロノミック量子操作をマイクロ波の偏光で行う新たな手法を考案し、ダイヤモンドNV中心を用いて実験実証に成功した。電子スピンだけでなく核スピンの任意量子操作にも成功し、・量子もつれ操作を行うことで任意の規模の量子を操作する“万能”ホロノミック量子ゲートを無磁場下で初めて実証した。

 3.量子テレポーテーションの原理による単一光子から単一同位体炭素核スピンへの量子状態転写(量子テレポーテーション転写)に世界で始めて成功した。これにより、量子情報通信のビットレート向上につながる量子中継器の量子メモリ集積化に道を開いた。

 4.量子中継技術実装に必要な、量子メモリーとの結合効率を最大化する狭線幅量子もつれ光源につながる通信波長2光子源の開発を行った。その結果、通信波長1.5ミクロン帯域でのこれまでで最も狭い線幅、およびすべての波長域における狭線幅2光子源で世界最高のスペクトル輝度を達成した。また2光子源励起レーザーおよび共振器の周波数安定化を実装し、量子メモリーとの結合に必要な周波数安定度を得ることに成功した。

 5.ダイヤモンド窒素空孔中心を量子メモリーとした場合に必要な可視光と通信波長間の2段階波長変換技術を実装し、得られた変換効率および信号雑音比の見積もりから、窒素空孔中心にもとづく量子中継システムへの波長変換系導入による長距離化の可能性を示した。

  6.半導体マイクロ共振器中に埋め込まれ共振器モードと強結合する量子井戸内励起子による励起子ポラリトンの高励起領域を研究し、高励起領域において従来のポラリトン分散にはあらわれない負の分散を観測した。この結果は、強結合が高励起領域でも依然として存在すること、つまり従来型半導体レーザー動作への移行をしていないことを示唆する結果であった。

~今までの成果~
2016年度 小坂・堀切研究室 年次方向
2015年度 小坂・堀切研究室 年次報告