
横浜国立大学の黒川穂高助教、小坂英男教授、および産業技術総合研究所(AIST)、量子科学技術研究開発機構(QST)の共同研究チームが、ダイヤモンド中の中性NV中心の軌道状態をミリケルビン温度で制御する新しい手法を実証し、これらの研究成果がPhysical Review Lettersに掲載されました。
主な成果
・5Kから15mKまで冷却することで、中性電荷NV中心の軌道緩和時間を10倍伸ばすことに成功しました。
・動的デカップリングパルスを用いることで、軌道のコヒーレンス時間を1.6us以上に向上させ、30倍の改善を達成しました。
中性電荷NV中心は、電場の感度が高く約10GHzの基底状態の分裂を持つことから、マイクロ波-光量子インターフェースを構成する物理系として有望視されています。今回私たちは、軌道寿命とコヒーレンスをそれぞれ最大5usと1.6usまで10倍以上向上できることを実証しました。これらの結果は、ダイヤモンド中の単一の光活性欠陥中心を用いたマイクロ波-光量子電磁気学の可能性を切り開くものになります。